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苗のイメージ(植木鉢の写真)
  • 医薬品医療機器等法
  • 特定商取引法

食品

植物の苗で「がんやエイズにも」とうたうのは問題では?

2019年7月24日掲載

  •  食用の植物○○の苗を頒布するA社の折込広告に、書籍の引用や推奨文を掲載し、「がんやエイズにも!」「病気に対する抵抗力を高めます!」「老化にともなうもの忘れなどに!」などとうたい、「左記が気になる方におすすめします」として動脈硬化、高血圧・低血圧、糖尿病などの疾病名が列記されています。この広告を見た消費者は、○○を食べれば病気を回復あるいは予防してくれると思います。しかし、○○にはこのような効果があるとは思えず、この広告は問題だと思います。
  •  A社に照会したところ、「もちろん苗は生きているもので加工品ではないので、医薬品医療機器等法による規制を受ける理由はありませんが、B大学のC博士、D大学のE博士、F研究センターのG博士の著書には、がんやエイズなどに関して効果が認められるとの記述があり、3先生からの了解をはっきりいただいている。また、○○の苗を食用としている方からいただいた全国からの感謝の手紙も山積みしてあります」とのことでした。

     広告は○○の苗の頒布という体裁をとってはいますが、内容は○○の食用効果を訴求するものです。実際に○○に含まれる成分あるいは栄養素にさまざまな効用がある旨の研究成果が発表されているのかもしれません。しかしながら、○○の苗を育て、食用することにより、「左記が気になる方におすすめします」として、数多くの疾病あるいは症状に効くことを暗示する表示は、一般消費者に過大な期待を抱かせ、誤解を招く恐れがあります。その結果として、前述の疾病あるいは症状のある一般消費者が適切な医療を受ける機会を喪失する恐れも生じると考えます。

     また、特定商取引法第11条によれば、通信販売の広告における返品について、特約がある場合は、その内容を含めて契約の解除などの全体について、広告に表示する義務を規定しています。しかしながら、A社のウェブサイトには返品に関して特定商取引法に基づく表示がなされていますが、本広告には返品の可否について表示されていません。本広告において、ウェブサイトと同様の「農産物のため返品できない」といった特約について表示されていない以上、同法に抵触する恐れがあると考えます。

     今後は、消費者に誤解を与えることのない広告・表示に努めるよう要望しました。

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