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「わき見運転をしても大丈夫」と誤解される自動車のCMは問題では?

2019年7月24日掲載

  •  自動車会社A社の自動車BのテレビCMに、運転中のドライバーがわき見運転をして前の車に追突しそうになるが、「衝突被害軽減ブレーキ」を搭載しているので自動でブレーキがかかり大丈夫だった、との映像表現があります。これは、一歩間違えれば重大な人身事故になりかねないもので、自動車会社のCMとは思えないと腹が立ちました。あたかも「わき見運転をしても大丈夫」と誤認させる恐れがあり問題と思います。
  •  A社に照会したところ、「このCMの意図としては決してわき見運転を助長しているわけではありません。運転中、どんなに注意をしていても、突然発生した何らかの事象に注意を奪われて、危険な思いをしてしまうことは、ドライバーであれば誰にでも起こり得ます。そのような、万が一の場合に、サポートをする機能がついていることを訴求しています。しかし、今回のようなご指摘もあり、誤解を受ける可能性のある箇所は修正することを検討します。なお、衝突被害軽減ブレーキのシステムは、フロントウィンドウ上部に内蔵されたレーザーセンサーが、前方の車両や障害物を検知し、ドライバーが回避作業を行わない場合に、自動的にブレーキを作動するシステムです。低速走行時の追突の危険回避、もしくは被害軽減のためのシステムであり、時速5~30km未満の速度域の際に作動します。歩行者、小型の障害物には反応しません。他社事例を参考に、CMの注釈部分に注意事項を記載していましたが、具体的な速度域についても、次回の改訂で追加する予定です」との回答がありました。
     しかしながら、当該CMの表現は、よそ見をしていても衝突の危険が回避できることを強調しており、車の安全性について一般消費者の誤認をまねく恐れがあります。また、当該CMにおけるブレーキ機能に関する表示は、表示時間がとても短く一般消費者が説明を全て読み取ることは困難です。しかも、「5~30km未満の速度域の際に作動をする」ことについては説明がないことから、どのような場合においてもブレーキが作動するとの誤認をまねく恐れがあります。
     当該表示は自動車業における表示に関する公正競争規約第5条第6号(特定事項の表示基準 安全、環境、衛生)の規定に抵触する恐れがあり、また同規約第7条第2号(不当表示の禁止)にも抵触する恐れがあります。
     今後は適正な広告・表示を行うようA社に要請しました。

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