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金貨のイメージ

小売業

「記念硬貨を金の価格に合わせて買い取る」の表示は問題ない?

2025年3月13日掲載

  •  買い取り業の折込広告に、記念硬貨として国から発行された金貨を『金相場の価格に合わせて買い取る』と表示されていました。金貨を地金に潰して再利用するということであれば、この表示は問題ではないでしょうか。
  •  問い合わせがあった時期はちょうど欧州の金融危機などの理由から、安定的な資産とされる金に注目が集まり、金相場は値上がりを続けていました。使わなくなった金製のアクセサリーを買い取り業者に持ち込む人も多く、こうしたものの大半は溶かして地金にされたようです。しかし、実際に買い物の代金として使える「貨幣」である記念硬貨となるとどうでしょうか。日本で発行された流通貨幣を金や銀の地金に戻す行為は「貨幣損傷等取締法」に抵触する行為であり、犯罪です。もし「硬貨を地金に戻し、金として再利用します」などと広告に書かれており、買い取り後に硬貨を金や銀などの地金に戻す行為が実際にあった場合は問題です。
     しかし、今回の相談の表示は「記念硬貨を金相場の価格に合わせて買い取ります」という内容なので、硬貨を何らかの違う形にしてしまう、という表現ではありません。金の相場に影響されて、記念硬貨の価値が上下することは通常のことであり、この広告に直ちに問題があるとはいえないと思われます。
     なお、2024年4月18日改定「景品類等の指定の告示の運用基準について」では、買い取り業においても「商品1つ1つを査定して金銭を消費者と引き換える」というサービスを提供していると認められる場合には、景品表示法の規制対象となるとの考え方が改めて明確化されています。「金相場の価格に合わせて買い取ります」等の買取価格について、表示と実際に相違があり、消費者が実際のものよりも著しくお得だと誤認する場合には、不当表示として景品表示法有利誤認に抵触するおそれがあります。

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