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  • 医薬品医療機器等法

化粧品・医薬品・美容健康用具

次亜塩素酸水で手指の消毒をうたえるの?

2020年6月22日掲載

  • 消毒用アルコールの代替品として、次亜塩素酸水が出回っています。手指消毒をうたった次亜塩素酸水の広告の掲載依頼がきていますが、問題はありませんか。
  •  新型コロナウイルスの感染予防として、こまめに手を洗うことや不特定多数の人が手を触れるものへの除菌などが推奨され、アルコール消毒液が不足しています。このため、ウイルスに有効とみられるいくつかの代替品の検証も行われています。このような中、JAROへの相談事例を見ると、アルコール消毒液に代わるものとして次亜塩素酸水へのご意見や照会が多く寄せられています。製品評価技術基盤機構(NITE)が6月26日に発表した有効性評価についての最終報告を見ると、塩素濃度や使用方法など一定の条件を付けて次亜塩素酸水の有効性が認められましたが、これ以前に商品として既に多く出回っています。これは次亜塩素酸水の多くが雑貨品として販売されていて、医薬品、医薬部外品のような製造許可、販売許可が必要ないところも関係しているようです。

     有効性についてはJAROでは判断できませんが、広告に関してはいくつかの指摘があります。まず、商品が医薬品や医薬部外品ではない雑貨品である場合、仮に本当に効果があっても、特定の疾病や特定の菌、ウイルスへの有効性はうたうことはできません。これは医薬品医療機器等法により、特定疾病や特定ウイルスへの効果は、医薬品等の効果として認められているものでなければならないとしているためです。菌やウイルスを特定しなければ、雑貨品でも物品への除菌やウイルス除去はうたえますが、これは洗浄やふき取りなど物理的なもので、作用としての殺菌やウイルスの死滅はいえません。また除菌であっても手指など人体への除菌はうたえません。肌への効果の訴求は医薬品、医薬部外品でなければならないからです。これは雑貨品だけではなく化粧品であっても同様です。化粧品の効果に除菌や殺菌は無いからです。新型コロナウイルスだけは広告に記載できるとの行政の事務連絡などは無いので、現状、次亜塩素酸水が新型コロナウイルス対策と表示して広告することはできないといえるでしょう。

     以上のことは医薬品医療機器等法に関する広告表示規制ですが、消費者庁では新型コロナウイルスに関する感染予防を標ぼうする広告表示は、現状では客観性・合理性を欠き、景品表示法、健康増進法違反のおそれが高いものとして、多くの改善要請を行っています。次亜塩素酸水についても、一定の条件下での有効性を認めたものなので、条件を外れた商品や適正な表示を行っていない商品は、景品表示法に抵触するおそれがあります。

     ところで医薬品、医薬部外品でなければ手指消毒はうたえないと先に述べましたが、アルコール消毒液の不足に対応するため、厚生労働省では事務連絡を出して、メタノールを含まない60%以上のエタノール濃度の製品を、医療機関などでの代替品として使用を認めました。この製品は製造、販売などで医薬品医療機器等法の規制は受けません。また広告などに「本製品は医薬品や医薬部外品ではありませんが、消毒用エタノールの代替品として、手指消毒に使用することが可能です」と記載することが可能としています。
    (※令和2年4月22日事務連絡 新型コロナウイルスの感染者が増加している状況に鑑みた臨時的・特例的な対応であり、今後の流行状況の変化等により取扱いが変更・廃止されることがあります)

    ※2020年6月30日 一部加筆修正

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