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脱毛エステの「月額1980円」の広告表示、実際は4年間の分割払いなのは問題では?

2021年6月14日掲載

  • SNSに表示された脱毛サロンの広告に月額1980円と表示されていて、安さに惹かれ最寄りの店に予約を入れて詳しい内容を聞きました。すると月額1980円は1年通える施術プランを4年間で分割した場合の料金であること、分割支払いの金利も19%と高いことなどを説明されました。そのため結局は契約しませんでしたが、ウェブページの広告では月額1980円と大きく表示している一方、その条件については最下部にしか表示されておらず、さらには表示内容も不十分であり問題だと思います。
  •  当該の脱毛エステサロンの広告表示をみると、SNS上のバナー、アフィリエイトサイト、公式サイトで「月額1980円で通い放題」と繰り返し表示されていましたが、料金についての詳細な説明はバナー広告、アフィリエイトサイトにはありませんでした。唯一ある月額料金についての補足説明は、公式サイトの最下部に非常に小さな字で「※1 脱毛(3カ所)1年間通い放題プラン5万9800円を当社指定の信販会社を利用した分割料金となります」という表示のみでした。
     このような、総額5万9800円のプランを信販会社利用で分割払いとする支払い方法を割賦販売といいます。この支払い方法を規制する割賦販売法では、クレジットカードなどを利用して割賦販売を行うことを「包括信用購入あっせん」、カードなどを使わずに割賦販売を行うことを「個別信用購入あっせん」と呼び、今回のような形の割賦販売は「個別信用購入あっせん」になります。割賦販売は施行令で「指定商品」「指定役務」「指定権利」を定めていますが、「信用購入あっせん」では「指定商品」「指定役務」を廃止しています。
     今回のような役務での信販会社を利用した料金を広告する場合には、同法により①現金販売価格②割賦販売での総支払い額③支払い期間④支払い回数⑤割賦販売手数料の料率(現金販売価格と割賦販売価格の差が2500円以上の場合)を公式サイトに記載する必要があります。当該公式サイトには現金販売価格が5万9800円であること、月々の支払い価格が1980円であることの記載がありますが、割賦販売での総支払い額、支払い期間、支払い回数、割賦手数料の料率(実質年利)の記載がありません。このため割賦販売条件の表示を広告で義務付ける割賦販売法第3条第4項および第35条の3の2第2項に抵触するおそれがあります。
     また、公式サイトの最下部に当該役務を現金で支払った場合の金額だと推測される5万9800円の料金表示はありますが、強調表示(月額1980円~)と離れた場所に表示されていて、消費者は当該表示の存在自体に気づかないおそれがあります。さらには取引の重要条件である支払い期間が48回で4年間に及ぶことについて記載がなく、単純計算をしても割賦の場合の総支払い額が9万円以上となることを広告から消費者は知ることができません。このような表示の仕方では、消費者は現金支払い額5万9800円を毎月1,980円ずつ分割して支払えば施術を受けられるかのように誤認するおそれがあります。このような分かりにくい料金表示は、当該役務を著しくお得に見せている表示として、有利誤認表示を禁止する景品表示法第5条第2号に抵触するおそれがあります。
     JAROでは広告主に対して「警告」の見解を出して、消費者に対して、法令を順守した適正で分かりやすい広告表示を行うよう求めました。

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