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2023年6月20日お知らせ消費者向け

2022年度の審査状況(HTML版)

2022年度の審査状況(HTML版)

総受付件数12,030件、前年度比87.4%
苦情・業種別:化粧品、健康食品減少の一方、「医薬部外品」は過去最多
苦情・媒体別:「インターネット」が減少
「見解」26件 対応力強化のため新たに「事務局文書発信」も実施
2022年度のトピックス
 ・定期購入など価格表示に関する「見解」が14件
 ・月額制のように誤認させる役務提供
 ・不適切なNo.1表示「見解」8件に含まれる

総受付件数12,030件、前年度比87.4%

2022年度(2022年4月~2023年3月)に受け付けた苦情・照会などの総件数は12,030件で、前年度比87.4%と1割余り減少した。

その内訳は、「苦情」9,206件(前年度比89.2%)、広告への好評な意見である「称賛」18件(同163.6%)、主に事業者からの広告制作等の相談である「照会」2,136件(同80.1%)、「JARO関連」の意見・問い合わせ95件(同80.5%)、「広告以外」575件(同87.8%)だった。

苦情は1,113件減少したが、近年増加傾向にあった幾つかの業種・媒体で減少が見られた。業種では「化粧品」332件減、「電子書籍・ビデオ・音楽配信」102件減、「オンラインゲーム」252件減など、媒体では「インターネット」778件減、「ラジオ」108件減など、受付経路別では「オンライン」1,149件減などである。コロナ関連の苦情も減少した(555件→245件)。

また、2019年度ごろから急増していた不適切なインターネット上の広告・表示も件数自体は減少した。しかし、不適切なものは商材や販売方法を変えて依然として寄せられている。

総件数の表。苦情9206、称賛18、照会2136、JARO関連95、広告以外575。
苦情件数推移のグラフ。2020年度が山で2年連続減少。

苦情 業種別:化粧品、健康食品減少の一方、医薬部外品は過去最多

苦情を業種別に見ると、「医薬部外品」は微増ながら初めて1位となり、過去最多件数となった。「化粧品」「携帯電話サービス」は大きく減少し、「専門店」「外食」「人事募集」が増加した。

「医薬部外品」は発毛効果の訴求やシミがはがれる誇大な表現などに苦情が寄せられ過去最多となった。「化粧品」は2020年度下半期から増加していたが、前年度多かった不快なインターネット上の広告・表示への苦情が減少したことにより大幅減となった。しかし、毛穴等の画像の表現が不快という苦情も依然としてあるほか、「定期しばりなし」とうたいながら2段階契約で詐欺的な定期購入契約をさせる苦情もあった。

美容健康商品については、特にインターネット上の広告・表示に関して、コロナ以前から苦情の多かった「健康食品」が2020年度下半期から大きく減少し、代わって増加した「化粧品」は2021年度下半期から減少した。依然として少数の事業者が不適切表示を行っているものと見られるが、行政の執行強化や、団体やプラットフォーム事業者の取り組みなどにより苦情は減少した。

一方で「医薬部外品」は2020年度に急増し、今年度まで逓増している。また、「健康食品(保健機能食品以外)」は減少したが「保健機能食品」の苦情は増加(51件→171件)しており、特に機能性表示食品の増加が目立った(35件→135件)。(グラフ参照)。

そのほか増加が目立ったものとして、「専門店」ではゲーム関連グッズ販売店のアドトラックに61件(未成年ユーザーが多いゲームなのに風俗店の求人あっせん広告を模した表現であることに不適切との苦情)、「外食」では複数の回転寿司店に対しおとり広告の行政処分に関連した意見や割引キャンペーンに関する苦情が56件、「人事募集」は特定の広告に対して顔のアップが不快、怖いという苦情が寄せられた。一方で、外出自粛の影響などコロナ時期に増加していた「電子書籍・ビデオ・音楽配信」「オンラインゲーム」「買取・売買」は減少した。「オンラインゲーム」については、苦情が多かった複数のタイトルの苦情が減少したことによる。(「買取・売買」は11位、298件→201件)

苦情業種別件数の表。医薬部外品、化粧品、健康食品、携帯電話サービス、専門店の順。

▼2021年度上半期公表分から、「デジタルコンテンツ等」を「オンラインゲーム」「電子書籍・ビデオ・音楽配信」「ポータル・プラットフォーム」に、「健康食品」は保健機能食品とそれ以外に分けている。

健康食品、化粧品、医薬部外品、保健機能食品のグラフ

苦情 媒体別:「インターネット」が減少

今期は「インターネット」が2年連続で減少となり、僅差ながら2019年度から続いた上位2媒体が逆転し、「テレビ」「インターネット」の順となった。2020年度から増加が続いていた「ラジオ」も今期は減少した。

大幅減となった「インターネット」の業種内訳を見ると、「化粧品」347件、「医薬部外品」340件、「電子書籍・ビデオ・音楽配信」203件、「健康食品(保健機能食品以外)」180件、「オンラインゲーム」149件が上位となった。「医薬部外品」は前年度比104.6%とわずかに増加したが、「化粧品」については前年度に多く寄せられていた不快なバナー広告に対する苦情が減少したため50.4%(689件→347件)と半減した。しかし、毛穴等の画像が不快という苦情は依然として寄せられ、また誤認させる定期購入の苦情も目立った。「オンラインゲーム」は広告と実際のゲーム内容が異なる、性的な画像が不快といった苦情がたびたび寄せられていた複数のタイトルが大きく減少し、41.2%(362件→149件)となった。一方、「保健機能食品」は機能性表示食品の届出の範囲を超える痩身効果の表示などに苦情が寄せられ約4倍(26件→99件)となった。

「インターネット」は778件減となったが、同媒体内で減少が目立ったのは、業種は「化粧品」342件減、「オンラインゲーム」213件減など、後述の内容別では「品質・規格等」241件減、「音・映像」206件減だった。

「テレビ」の業種別内訳を見ると、上位は「人事募集」209件、「携帯電話サービス」196件、「団体」166件、「自動車」156件、「医薬部外品」145件だった。「人事募集」は前述のとおり顔のアップが不快などという苦情で約30倍(7件→209件)、「団体」は啓発CMに関するさまざまな意見、その他「眼鏡・コンタクトレンズ」は特定の広告に対して連呼する広告が不快との苦情が集中し15倍(6件→90件)となった。

「ラジオ」は「相談業務」「比較サイト」「団体」「買取・売買」の順で、コロナ下で増加していた「買取・売買」が23.9%(92件→22件)と減少するなど、全体件数を減らした。「店頭」は「外食」が177.8%(36件→64件)でメニュー写真と実物との違い、割引キャンペーンの条件・実施期間などで苦情が寄せられた。

苦情媒体別件数の表。テレビ、インターネット、ラジオ、チラシ、店頭、折込の順。
上位2媒体の件数推移のグラフ。インターネットは2020年度をピークとした山型。テレビは増減を繰り返しながら増加傾向。

苦情内容別:「表示」関連の増加傾向が継続

「苦情」の内容別は(1)表示、(2)表現、(3)手法に分類しており、今期も表示が最も多かった。構成比は53.8%、39.9%、6.3%であり前年度(52.6、40.4%、6.9%)と同様の傾向だった。近年の推移で見ると、(2)表現、(3)手法に大きな変化がないのに対し、(1)表示は2019年度以降、構成比が大きくなっており、表示の増減が苦情全体の増減に比例する状況が続いている。(右下グラフ)

(1)表示は「価格・取引条件等」が2,235件(苦情全体に対する構成比24.3%)で、誤認させる定期購入契約のほか、今期は月額契約であるかのように誤認させる割賦販売、外食のキャンペーンやおとり広告に関する意見などが目立った。「品質・規格等」は2,477件(同26.9%)で、育毛やシミ、痩身をうたった美容健康商材や日用品の性能などに苦情が寄せられた。2018~19年度には「価格・取引条件等」が上回っていたが、2020年度以降は「品質・規格等」が上回っている。

今期最も多かったのは(2)表現の「音・映像」2,641件だった。前年度とほぼ同じ件数だったが媒体により増減が分かれ、「テレビ」は増加(1,757件→2,009件)、「インターネット」は減少(770件→564件)となった。「テレビ」については苦情が集中するCMが複数あり、「カラフルな画像が次々切り替わり、かつてアニメ番組を見て子どもが倒れた事故を思い出す」「CM内のバイブレーション音が自分のスマホが鳴ったと勘違いする」「顔のアップが不快」「会社名を連呼するCMの音・映像が鬱陶しい」などが寄せられ、2,009件と「音・映像」の76.1%を占めた。

(3)手法は広告の頻度やCMの音量、ステマを疑うものなどであり、媒体の内訳では「インターネット」(302件)が最も多い。今期は「地域の電力会社名で検索すると○○電力の手続き用サイトと思わせるリスティング広告が出るが、電力会社とは無関係の販売代理店である」「表示に興味を持ちバナー広告をタップするが、飛び先のページには関連の情報が全くない」などがあった。オプトアウトしているのに繰り返し表示されるなど非表示に関するものは例年寄せられている。

内容別件数の表。表示関連では価格取引条件2235、品質規格2477、表示その他241、表現関連では音・映像2641、差別ジェンダー318、社会規範683、表現その他32、手法関連では頻度等504、内容75
表示、表現、手法の苦情件数推移のグラフ

苦情申立者の年代・性別 10~20代が2割超減少

苦情申立者の年代・性別では表のとおりで、前年度比では50代・60代が増加したが、それ以外の層は減少した。特に10代・20代の減少は20%以上となった。

男女比は苦情全体で62.6%対37.0%となり、ほぼ例年どおり男性が多かった。50代以上ではほぼ7対3だが、20代・30代ではほぼ1対1となった。

申立内容で見ると、30代以下では他の年代より「表現」の割合が高い傾向がある。今期、全年代では表示53.8%、表現39.9%、手法6.3%という構成比だが、30代以下に限ると39.6%、52.9%、7.5%となった。表現のうち「音・映像」に関する苦情の割合は10代・20代で顕著に高く、全年代が苦情の28.7%であるのに対し、10代は40.4%、20代では50.3%を占めた。

今期、10~40代と70代以上が減少したが、減少率では特に10代(53.3%)、20代(75.3%)が大きかった。10代・20代で減少が目立ったのは、業種では「オンラインゲーム」143件減(201件→58件)、「化粧品」103件減(139件→36件)など、媒体では「インターネット」270件減(830件→560件)、「テレビ」183件減(654件→471件)などだった。「オンラインゲーム」については広告と実際のゲーム内容が異なると苦情が寄せられていた特定のゲームの広告が減少したこと、「化粧品」については気持ち悪い画像を使用したバナー広告や性的表現を使用した動画広告などへの苦情が減少したことが要因である。

年代・性別の表。

「見解」26件 対応力強化のため新たに「事務局文書発信」も実施

今期は26件を審議し、「厳重警告」7件、「警告」17件、「要望」1件、「助言」1件の「見解」を発信した(前年度はそれぞれ9件、10件、10件、1件、計30件)。前年度より4件減少したが、関係法令への抵触が明らかであると判断されたもの(厳重警告と警告)が大半を占めた。見解対象となった業種は、例年多い化粧品や医薬部外品のほか、パーソナルトレーニングジム、洋服レンタルサービス、男性用脱毛サロン、ペット用健康食品などさまざまなものを扱い、不適切なNo.1表示や月額サービス料金のように装った割賦販売、詐欺的な定期購入契約なども依然として見られた。媒体別では「インターネット」が21件を占めた。

 また、今期からより多くの案件への対応と効果的な適正化活動の推進を目指して「事務局文書発信」を開始し、保健機能食品や医療機関などに9件発信した。

寄せられた苦情は見解発信以外に、文書照会、電話照会、情報提供、他機関紹介などを行った(右下表)。苦情対象となった広告・表示は、法令違反のものばかりでなく、出演者や表現に対する非好感の意見なども多く含まれ、苦情全件が審査対象となるわけではないが、必要に応じて下記のような対応を行った。

見解内訳の表。業種では化粧品5件、医薬部外品4件、教室講座、レンタルリース各3件など。媒体はインターネット21件、ミニコミ誌、チラシ各2件など。

2022年度の厳重警告・警告一覧 ( )内は媒体

≪厳重警告≫
1.口内細菌の99%を除菌するなどとうたった健康食品(インターネット〔自社サイト、自社販売サイト、オンライン通販モール〕、商品パッケージ)
2.回数しばりのない契約で購入ボタンを押下すると、直後に「さらにお得に購入できる」と表示して契約させるが、2度目の契約は回数しばりのある定期契約になっていた化粧品(インターネット〔自社販売サイト、注文内容確認画面、注文完了画面〕)
3.「月々料金で通い放題」「月々〇千円~」と月謝制のような表示をしているが、実際は分割払いの月額だったスポーツレッスン(インターネット〔アフィリエイトサイト、自社サイト〕)
4.「業界最安値」「月々〇千円~」と月謝制のような表示をしているが、実際は何十万円かの契約で分割払いの月額だったパーソナルトレーニングジム(インターネット〔SNS広告、アフィリエイトサイト、自社サイト〕)
5.月額千円程度で最短2回とうたっているが、千円程度になるのは数万円のコースを36回払いにした金額だったヒゲ脱毛の男性用エステサロン(インターネット〔SNS動画、記事広告〕)
6.エステの〇倍のパワーで脂肪を破壊などとうたった医療機関(インターネット〔SNS広告、記事広告、自社サイト〕)
7.白内障への効果をうたった犬用健康食品(インターネット〔SNS広告、ランディングサイト、販売サイト、最終確認画面〕)

≪警告≫
8.「コストパフォーマンス〇〇県内No.1」などとうたっているが、根拠となる調査と表示が合っていないハウスメーカー(ミニコミ誌、インターネット〔自社サイト〕)
9.医療従事者注目度No.1などと医療関係者が推薦しているかのようにうたった医薬部外品のフェイシャルパック(インターネット〔自社販売サイト〕)
10.アトピー性皮膚炎への効果をうたった温泉情報が書かれた同じページに、その温泉成分が配合されていると紹介・販売されている化粧品(インターネット〔自社販売サイト〕)
11.卵殻膜が有効成分であるかのような表示をした薬用化粧品(インターネット〔自社販売サイト〕)
12.サブスクで安価にレンタルできるかのようにうたっているが、複数年の契約期間があり、中途解約すると違約金として残額を支払う必要があった家電レンタルサービス(インターネット〔広告主公式アカウントのSNS投稿、自社サイト〕)
13.コーヒーで痩せる、製薬会社が本気で作ったなどとうたった健康食品(フリーペーパー)
14.月額サービスのようにうたっているが実際は24回分割払いの額だったファッションレンタルサービス(インターネット〔自社サイト〕)
15.認知症が予防できるかのようにうたった補聴器(ポスティングチラシ)
16.歯の黄ばみが取れるかのような効果や口腔内の気持ち悪い画像を掲載した歯磨きジェル(インターネット〔アフィリエイトサイト、自社販売サイト〕)
17.「〇〇円~」「追加料金一切なし」などを見て依頼したら、親会社が一緒だという別会社が来て、表示されていなかった基本料金や忌避剤などの「追加料金一切なし」「〇日間再発防止保証」という表示を見て依頼したが、さまざまな費用が追加され、再発しても保証されなかった害虫駆除サービス(インターネット〔自社ウェブサイト〕)
18.セット価格であると誤認させる価格表示や、定期購入契約であることが認識できない化粧品のスキンケアセット(インターネット〔メールマガジン、メールマガジンからリンクした販売サイト〕)
19.12回コース6,800円、1回あたり500円余りと表示していたが、1回10分程度の施術を6回(60分)受け、それを2日間で受けるコースだったエステティックサロン(ポスティングチラシ)
20.体験レッスン無料とうたっているが、無料にするためには体験レッスン後の有料のダイエットプログラムへのエントリーが条件だったパーソナルトレーニングジム(インターネット〔自社サイト〕)
21.「まつ毛がはえる」と言って発毛するかのようにうたった化粧品のまつ毛美容液(テレビ)
22.皮膚科に通院しているか、腸の状態が悪いかなどと質問形式で表示し、当該商品で悩みが解消するかのように標ぼうした化粧品(インターネット〔自社サイト〕)
23.活性酸素を消すかのようにうたった水素水製造ボトル(インターネット〔自社販売サイト〕)
24.口をゆすぐだけで歯が白くなるかのように承認範囲を超えて表示していた医薬部外品のマウスウォッシュ(インターネット〔ランディングページ、販売サイト〕)

審査結果の定義 (2020年6月18日公表「JARO審査基準改定について」から)
【厳重警告】 警告相当の広告または表示であって、問題箇所の数、消費者に誤認を与える程度等により、その不当性が特に高いと認められることから、当該広告または表示を直ちに削除または修正することが必要と認められるもの。
【警告】 広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され、消費者に誤認を与えるもの、または広告・表示関係法令に抵触することが明らかであることから、当該広告または表示の速やかな削除または修正を求めることが必要と認められるもの。
【要望】 広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され広告・表示関係法令に抵触する疑いがあるもの、または消費者の誤認を招くおそれがあることから、当該広告または表示の削除または修正を求めることが必要と認められるもの。
【助言】 広告または表示が、消費者の誤解を招く、または社会的・道義的問題等を有する可能性があるため、修正等の検討を求めることが必要と認められるもの。(従来の「提言」から名称変更)

2022年度のトピックス

▼定期購入など価格表示に関する「見解」が14件
今期、定期購入契約の苦情件数(JAROが定期購入だと認知できた件数)は293件(前年度259件)で減少が見られず、今期の「見解」でも4件あった(前述の厳重警告2、7、警告9、18)。

前年度から見られるようになった二段階で契約させる定期購入契約がある。「定期しばりなし」とうたって契約を完了させると、直後に出る画面でさらにお得に購入できるかのような提示をして契約をさせるが、それが定期しばりがあるというもの。2022年6月1日に改正特定商取引法が施行され、二段階契約の定期購入の苦情は見られなくなったが、一般的な定期購入はその後も減少が見られない。

この定期購入を含め、価格・料金に関連する「見解」が目立った。苦情全体では価格・料金関連のものは若干減少したが(「価格・取引条件等」2,235件、前年度2,308件、前年度比96.8%)、「見解」については26件中14件あった。後述の「月額制のように誤認させる役務提供」のような事例、割引の適用条件や割引率、セット価格などに関する誤認させる表示などであり、業種は化粧品、スポーツジム、エステティック(脱毛・痩身)、医療機関、ファッションレンタル、害虫駆除サービスなどさまざまなものがあった。

警告9 医薬部外品の事例は、インフルエンサーが効果があると言っていたので、「回数しばりはなく、いつでも解約可能な定期コース」という薬用フェイシャルパックを購入したら、注文完了後の画面に「ちょっと待って!」「今から○分間限定の特別キャンペーン」「無料で1箱プレゼント」と表示され、それも購入すると2つ目の契約が回数しばりのある定期購入契約になっていたというもの。申立者が解約を申し出ると、「定期しばりがある商品に後から変更しているので、あと3か月は定価で届ける。解約の場合は違約金を支払え」と言われた。後から表示されたオファーの条件等を後から確認しようとしても、最初の商品を購入した後に出る画面なので確認することができないものだった。(医薬品医療機器等法、特定商取引法などに違反するおそれ)

警告17 害虫駆除サービスの事例は、検索サイトで表示された広告主サイトに「追加料金一切なし」「シンプル料金」「30日間再発防止保証」とあったので依頼したところ、ウェブサイトには記載されていない基本料金、燻煙材、殺虫系再発防止忌避剤などを請求された。1週間後には害虫が大量発生したが、「保証なし」で契約していると言われ保証が受けられなかった。(景品表示法に違反するおそれ)

▼月額制のように誤認させる役務提供
「月額○○円」「サブスク」などと安価に利用できるようにうたっているが、実際には高額契約を24回や36回などで分割払いする場合の1回分の支払額であるというものだったり、あるいは、解約すると残価を支払わねばならないというものなど、短期で安価に利用できる契約であると誤解させるという事例だ。(厳重警告3、4、5、6、警告12、14)

いずれも広告やウェブサイトには契約条件などが適切に表示されておらず、支払いの総額・回数・期間などが認識できないものだった。割賦販売等に該当する場合には、支払い総額などの必要表示事項がないことから割賦販売法に違反するおそれがあり、安価に短期間のサービス利用ができるかのように誤認させる場合には景品表示法に抵触するおそれがある。

警告14のファッションレンタルサービス事例は、月額約3千円、最初の2カ月は0円と表示していたが実際には年間契約で、1年間約7万円を24回分割払いにした1回分が約3千円というものだった。(景品表示法、特定商取引法などに違反するおそれ)

参考 2022年12月12日公表 「サブスク」を装った役務提供契約
   https://www.jaro.or.jp/news/20221212.html

▼不適切なNo.1表示「見解」8件に含まれる
不適切なNo.1表示について、日本マーケティング・リサーチ協会の抗議やメディアでの紹介など話題になったが、同様の表示は現在でも散見され、今期は92件(前年度95件)あった。消費者からの苦情の主訴は定期購入や効能効果など別の問題であることが多く、JAROが審議過程で不適切なNo.1表示を把握するケースがほとんどである。そのため、No.1表示についてはJAROで認知できた件数となる。

前述の見解26件の中で不適切なNo.1表示を含む事例は8件あった(前述の厳重警告2、5、6、警告8、9、11、14、16)。前年度は3件(厳重警告2件、警告1件)だったので増加となった。

厳重警告5の男性用エステティックサロン(ひげ脱毛)の事例では、「初めて脱毛した人が選ぶ脱毛サロンNo.1」「総合満足度No.1」などとうたっていたが、その調査は利用者に対するものではなく、メンズ脱毛サロン10事業者のウェブサイトを見て回答するイメージ調査だった。また月額千円程度とうたっているが、実際には36回分割払いの1回の支払い額だった。(景品表示法、割賦販売法に違反するおそれ)

警告8のハウスメーカーの事例では、地域ミニコミ誌上の広告と広告主のウェブサイトに、「コストパフォーマンス〇〇県内No.1」「地域密着型住宅メーカー〇〇県内No.1」などと表示されていた。表示の根拠となる調査は、企業名のみの選択肢から答えるイメージ調査であり、また、その調査対象者は当該ハウスメーカーの契約者とは限らない全国の人で、〇〇県在住者はわずかだった。(景品表示法に違反するおそれ)

定期購入の苦情件数表。